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【ふるよに】シーズン5のサリヤアナザー研究まとめ(中編)

前編に引き続き、サリヤアナザー研究についてまとめていきます。
今回の記事では環境後期(流転爪禁止以降)のデッキの変遷について解説します。
書いている最中でまた長くなりすぎることが分かってしまったため、前中後編の3本立てになります。

環境後期-溢れる対策と対策の対策

戦新嵐という3柱がTier1になったことで、環境は、

  • 戦新嵐を使用する
  • 戦新、あるいは新嵐への対策デッキを使用する

このどちらかを選択するプレイヤーに分かれていきます。(戦嵐については、デッキが強力すぎたため対策したデッキは存在できませんでした)
当時、戦新の対策として考えられていたのは以下のようなデッキです。

  • ステップ対応を複数枚採用してSIGMA-DRIVEを回避する
  • かさまわしでリソースを確保しながらSIGMA-DRIVEをオーラ受けし続ける
  • 全力札を上手く利用してテンポやライフリードを取る
  • 間合い1か間合い5で設置を避ける
  • レンジロック
  • 反論

これらのデッキは、確かにASURA単騎に対しては有効ではありました。しかし、それらはASURA単騎を選択しないことによって対策されていきます。

  • ステップ対応を複数枚採用してSIGMA-DRIVEを回避する
    →リソース的に見れば手札と集中力の交換なので損はしない。毎ターンSIGMA-DRIVEを打てばいつか当たる
  • かさまわしなどでリソースを確保しながらSIGMA-DRIVEをオーラ受けし続ける
    →DEVAによってこちらもリソースを確保する。または全力札でオーラ受けのテンポを崩す
  • 全力札を上手く利用してテンポやライフリードを取る →DEVAの変形時効果でテンポを取り返し、Phi-Cycleで継続的なリソースを確保する
  • 間合い1か間合い5で設置を避ける
    →移動しなくてもSIGMA-DRIVEが使用できるため、設置で誘導を使ってオーラを削る。またはShield Chargeを使用する
  • 反論
    →KINNNARIとDEVA-NAGAによって攻める

要するに、ASURA単騎に対して有効なプレイングはおおよそ全てDEVAに弱かったのです。
ASURA単騎のコンセプトは、Transformに使用するリソースをSIGMA-DRIVEの使用に充てた短期決戦のデッキです。性質上、大きく自分のリソースを削られたり、大きく相手のリソースを回復されるとプランが崩れます。
ですが、DEVAの変形時効果による2纏いと、集中力を得る効果でリソースを確保できてしまうとリソース勝負をしかけるデッキに対して有利を取ることができるようになります。
また、もう一つリソース勝負をしかけてきた相手に有効なカードが存在します。それがSteam Cannonです。
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1変形の新型は好きなタイミングでBlackbox NEOを使用できるため、造花結晶の制約を受けづらくSteam Cannonは非常に強力な攻撃手段になります。
Form:DEVAとSteam Cannonのどちらかを採用することによってリソース勝負をしかけてくる相手には有利をとって戦うことができました。

3変形型

さて、反論に対してはKINNNARIとDEVA-NAGAによって攻めると書きました。
戦新嵐を対策したデッキとして書新嵐が開発された時、ASURA単騎による勝利はほぼ不可能でした。その理由は反論です。
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SIGMA-DRIVEに対して反論を合わせられるのは流石に厳しく、反論を使わせた後にも扇動が残っているという点が非常に厄介でした。
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そこで開発されたのがJulia's Blackboxを採用した3変形構築です。
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生体活性でKINNNARIにTransformした後、Blackbox NEOに結晶を1つ乗せてからJulia's BlackboxでDEVAにTransformし、Blackbox NEOでNAGAにTransformするという流れで3回のTransformを行います。
この構築では相手のASURAをオーラ受けしつつ全てのリソースを纏いと相手の山札を破壊することに使います。
すると相手にZETA-VOICEの2/2と設置忍歩鋼糸の2/2で絶えずオーラ圧をかけ続けながら山札の再構成によってライフを削り、最終的には3/3のOMMNIS-BLASTERでとどめを狙います。これにより反論の構えを無視しながらオーラとライフを削ることが可能になり、勝利することができるようになっていきました。
このように戦新は対策に対する対策をとる手段が豊富で、しばしば「感想戦すると勝っている組み合わせ」と言われていました。

新嵐についての研究

戦新が研究されていく一方で、新嵐についても研究が進んでいました。
この時期に広く使われていたのは風走りQC型ASURA単騎構築で、1ターン目にBlackbox NEO、2ターン目にTurbo Switchで再起、3ターン目に風走りと暴風でダストを作ってQuick Changeを使用してASURAにTransform。その後Transformは目指さずにリーサルを狙っていくタイプです。
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この型は強力である反面、主にミラーマッチで先手後手の差が非常に大きく先手を取った側が圧倒的に有利とされていました。
先手側がこの動きを決めると後手側は手札を1枚失った上でZETA-VOICEの2/2を受けるか焦燥しなくてはならず、後手はかなり厳しい展開になります。また、単純に先手は1ターン多く行動できるため、先手側が先に勝利盤面を作りやすいという点から、先手が有利でした。
これに対して、後手側が切り札に円環輪廻旋を採用すればギリギリ生き残るゲームがある。しかし先手を取った場合逆に打点が足りずに後攻側のリーサルが間に合ってしまうことがある。ということから、Blackbox NEOと陣風祭典儀の2枠を確定として「自分が先手だと思うなら雷螺風神爪を、自分が後手だと思うなら円環輪廻旋を採用する」という未来予知を要求されるマッチアップになっていました。
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そこで、開発されたのがNEO不採用の雷螺風神爪と円環輪廻旋同時採用型、通称「後手構築」です。
風走りQCの基本的な動きはそのままに、Transformするのではなく初手に大嵐を使用してゲージを稼ぎつつ3ターン目にQuick ChangeからASURAを使用し、序盤に大きくライフリードをとる構築です。切札は雷螺風神爪と円環輪廻旋の両方が採用されているため、早いリーサルを狙うことも相手のリーサルを1ターン遅らせることもできます。
この構築によって、新嵐ミラーは後手で勝利することが可能になり、更に検討を重ねる上で以下の事実が明らかになりました。

  • 先手構築(先述のTransformする型)同士で対戦した場合、先手有利
  • 後手構築同士で対戦した場合、後手有利
  • 先手を取った先手構築と後手を取った後手構築が対戦した場合、後手有利
  • 先手を取った後手構築と後手を取った先手構築が対戦した場合、先手有利

この結果から、新嵐ミラーは後手構築の採用が最適解であるという結論になりました。また、この後手構築は新嵐ミラー以外でも有効で、0変形型構築として色々な対面で使われていくようになります。

また、新嵐を狩る構築として注目されていたのが新鏡です。新嵐は切札対応を円環輪廻旋しか持たないため、ヤツハの通常札対応不可によるリーサルが取りやすいことから注目されていました。
この段階では新嵐対新鏡は新鏡が有利とされていたまま、暴風の禁止が入って一旦シーズン5は終わりを迎えます。
ですがここから新鏡と新嵐の対決の歴史は長く、何度も有利不利が入れ替わっていきます。詳しくは次回、解説します。

環境後期のまとめ

  • 戦新嵐の流行に伴って戦新と新嵐のいずれかをメタったデッキが台頭する
  • 戦新への対策はいくつかパターンがあり、そのいずれも対策に対する対策が考えられていた。この時、3変形型が開発された
  • 新嵐はミラーマッチについての研究が盛んに行われ、結果として0変形型が開発された

環境後期ではJulia's Blackboxを採用した3変形型とBlackbox NEOを採用しない0変形型が開発されました。
型の派生を繰り返して相性もよく分からなくなってきていた環境後期から、暇を持て余した新型研究家達によって相性問題は収束に向かっていきます。
次回は延長戦(暴風禁止以降)について解説します。たくさんの派生を繰り返した新型がどのように収束していくのか、ご期待下さい。